不本意ながらも魔法使い

★亮様からのリクエスト
『メガネが似合うクールで格好いい、しかもそこそこ身長があって足が長い、だけど実はヘタレ←な事を隠している大学生(男子)の、突飛で奇想天外で荒唐無稽な面白い話』
1/7ページ
 その大学で、彼はちょっとした有名人だった。
 黒縁メガネをかけた、そこそこ身長があって足の長いすらりとした体型を有するその男子学生は、確実に格好いい部類に入るタイプの人間だった。実際女子には大変な人気があり、昨年の学際で催された【イケメン男子コンテスト】では堂々の二位入賞を果たした程の美貌の持ち主だ。
 しかし、彼は一風変わった人間だった。所謂、一匹狼といった感じの人間で、特定の友人を作る事も無く、いつも一人で行動していた。といっても人間嫌いという訳でもなさそうで、話しかけられれば快く受け答えをしたし、講義内で催されるプレゼンなどの行事にも積極的に参加していた。
 それでもやはり、何処か他人と一線を置きたがる傾向があるのか、ある一定の距離まで相手が踏み込んでくると、さりげなく距離を取った。
 まるで雲のような存在だと、そんな彼の何処か現実離れした雰囲気を揶揄してそんな事を言った学生がいた。広大な空の中を悠々と泳いでいく、自由気ままな雲のようだと。
 ぼんやりと空を眺めている姿が多く目撃されていたのも、そんな例えを生み出す要因になったのかもしれない。
 知的でクールで優しくて、でも何を考えているのか分からないミステリアスな人。


 それが、黒縁メガネをかけた男子学生――夜琴やごと暁斗あきとの、周囲の認識している姿だった。

ΨΨΨΨ


【次へ】/【戻る】