似合いすぎ
浮き足立っている廊下を教室に向かって歩いていると、自分のクラスがやけに騒がしい事に気が付いた。
何かあったのかとひょこりと中を覗いたら、目の前に幽霊が立っていた。
「ぎいやぁぁぁッ!」
思わず奇声を発してうずくまり、南無阿弥陀仏と何度も唱えてみる。効果があるかは別として。
「君も失礼だな」
聞き慣れた声に顔を上げると、呆れ顔のルカさんが俺を見下ろしていた。何故かリングの貞子の格好をして。
「まるで幽霊でも見たような顔をして」
機嫌を損ねた様子のルカさんに、まさに貴方が幽霊ですと言う度胸と勇気は、生憎俺にはなかった。
っていうか、その格好似合いすぎです、ルカさん。
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