言わずと知れた
★紅 かや様へのリクエスト
『"Mssing"の空目と村神の友情物語』
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歓声とボールのバウンド音と、キュッキュッと耳障りな靴音。
それらが入り混じった轟音に耳を塞ぎたくなりながらも、空目は黙ってそこに立っていた。
体育の授業。
種目はバスケットボール。
ドリブルしていた武巳の前に、敵チームの二人が立ちはだかる。
垣間見えた黒い影。
「陛下、パスっ!」
素早く放たれた薄茶色の球体に、空目がかすかに瞼を持ち上げた。
バシィッ!
「…………。」
受け止めたのは、空目や武巳とは違う色のビブスを着た長身の少年。
彼はその体躯を活かして敵をかわし、見事シュートを決めた。
ビー――――ッ!!
計ったようなアラームに、チームごとの声が上がる。
体育会系の挨拶をすると、武巳は腕を頭の後ろで組んだ。
「あーあ、なぁんで村神が取るかなぁ……。」
ぼやかれた長身の少年――俊也は渋面を返す。
「つーかお前……空目にパス出して何とかなると思ったのか?」
「う……。」
空目の運動神経の無さは、もちろん武巳も承知している。
「だってさぁー……咄嗟だったから。マーク付いてなかったし……。」
「空目マークする奴なんかいねーよ。」
「…………だな。」
失敗したのは自分なのに、武巳は思わず笑ってしまった。
そして空目を見やる……つもりだったが、彼は忽然と姿を消していた。
あれ、と見回していると他の友達が話し掛けてきたので、悪ぃ、と俊也に手刀を切った。
それに応えて軽く手を挙げると、俊也は体育館を後にした。
………………。
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