言わずと知れた
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体育の時間を除けば、今日も空目が危険に晒される事は無かった。
……まあ、少しばかり遠めについてくるあやめを数に入れれば、今日も無事に済んだ、が正しいか。
ここまで来るとあやめに親しみが無いとは言わないが、俊也に危機感を抱かせる存在である事は変わらない。
「村神。」
俊也は少なからず驚いた。一緒に帰宅しているとは言え、空目から話し掛けてくる事は珍しいから。
「どうした?」
わざわざ足を止める程の話なのかと、俊也は心構えを作った。
しかし、俊也を映す漆黒の瞳は、緊迫どころか一切の感情を宿していなかった。
「今日は、助かった。」
…………。
何?
「どうした?」
「こっちの台詞だ。今更どうしたんだよ。」
空目が、礼を言うなんて。
俊也が驚くと共に怪訝そうにすると、空目は少し考えた後、
「……確かに、な。」
そう呟き、止まった時と同様に勝手に歩き出した。
ますます困惑しながらもついていく俊也。
「世間では、俺達の関係を幼馴染みと呼ぶのだろうな。」
「なにも世間規模にしなくても、俺もそう思ってるぞ。」
「奇遇だな、俺もだ。」
……本当に、一体どうしたと言うのか。
話が唐突なのはいつもの事だが、こういう方向に転がるのは極めて珍しい……いや、初めてではないだろうか?
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