脱出
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「おまえと結婚することに決めた…と。」
「け、け、結婚?!
じゃあ、そいつはメスだったってことか?!」
「おそらくそうだと思います。
私もその竜人に友人のような感情を抱き始めてはいましたが、結婚などとても考えられません。
私はその気持ちを正直に答えました。
すると、竜人は、では、会うのは明日を最後にしようと言ってくれたのです。」
「それが、なんでそんな姿に?!」
「次の日、いつもの場所に行くと、そこには見知らぬ老婆がいました。
人間の老婆です。
竜人は最後に贈り物をやると言って、私を魔方陣の中に座らせました。
私は疑う事もせずに言われるままにそこでじっとしていました。
すると、老婆がなにやら呪文のようなものを唱え始めたのです。
そして、私の姿はこんな姿に…」
「なるほどな…
あんたは勝手に惚れられて、そして逆恨みでそんな姿にされちまったってわけか。
気の毒になぁ…」
アーサーは、その後、町に帰ることも出来ず、イシュバラ樹海をさ迷っていたということだった。
そのうちに、アーサーに気付いた竜人に声をかけられ、本当のことを言うか言うまいかと迷っていた所、勝手に記憶喪失だと判断され、竜人の根城へ連れていかれたということだった。
それからは、記憶を失った竜人のふりをしてひっそりと暮らして来たのだという。
「なぁ、ザイの魔法で元の姿に戻してやれないのか?」
「残念ながら、変身の術は術をかけた者でないと解けない場合が多いんだ。」
「そうなのか、じゃあ、その婆さんを探すしかないってことか…
あんた、その婆さんに見覚えはないのか?」
「いいえ…」
「そうか…じゃあ、とにかくこの山を越えたら皆でその婆さんを探すことにしよう。
とにかく、今はこの山を無事に越えることだけを考えようぜ!」
勝手にその場をしきるアーロンを多少疎ましく感じながらも、ザイは頷いた。
「……そうだな。そうしよう。」
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