一難去ってまた一難!
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マーナの家の情報は、すぐにみつかった。
「マーナ」という名前からはわからなかったが、町外れの森の中に偏屈な婆さんが一人で住んでいるという話を聞き、二人はそれがマーナのことだと確信した。
「このあたりのはずだよな。」
「そうですね。
でも、この森のどこにいらっしゃるのか…」
二人が歩いているのは、昼までもなお暗い鬱蒼とした深い森…
確かに、こんな所に一人で住む者が偏屈でないはずがない。
「誰じゃ。
わしの森の中を勝手にうろついとる奴は…!」
背中から聞こえた威勢の良い声に、二人は同時に振り向いた。
「マーナさん!!」
ラーナやターナと同じその顔の持ち主がマーナであることは明白だった。
マーナは、山ほどもある薬草のようなものを詰め込まれた大きな籠を背負っていた。
「……んん?
おぬしとは以前どこかで会ったことがあったか?
なぜ、わしの名を知っておる?」
マーナは、古い記憶を思い出そうとするかのように、まじまじとリシャールの顔をみつめる。
「婆さん、実はな…」
「話は家で聞こう!」
ザイの言葉を遮ってそう言ったマーナは、背中の籠を地面に降ろすとリシャールの腕に自分の腕を絡めた。
「男前じゃのぅ…
おい、赤い髪のおまえ、かごの薬草を1本たりとも落とすでないぞ!
さぁ、行こうか?」
マーナはリシャールを見上げ、うっとりとした幸せそうな微笑を浮かべる。
「は、はい。
参りましょう!」
(……なんで、俺が荷物持ちなんだ!?)
理不尽な言いつけに不満を漏らしながらも、ザイはその籠を背負った。
(うっ…なんだ、この籠?!
どんだけ重いんだ?
くっそー、あのばばぁ!)
前を歩くリシャールとマーナの背中に悪態を吐きながら、ザイは二人の後を着いて行った…
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