一難去ってまた一難!
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「しっかりと押さえておくんじゃぞ!」
マーナのその言葉に従い、ザイとリシャールは、上半身を顕わにされたアーロンを両脇からがっしりと押さえこむ。
「お…おいっ!なんでそんなに押さえつけるんだよ!
ば、ばぁさん…それ…」
マーナはペンチのようなものを手に、アーロンの背後に回った。
「よし、行くぞ!」
マーナの気合いのこもった掛け声と共に、アーロンの絶叫が森の中に木霊した。
逃れようとするアーロンを押さえるザイとリシャールの腕にも力が入る。
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「やっと、取れた…」
しばらくして、マーナは、アーロンの背中から取った固い鱗を手ににっこりと微笑んだ。
アーロンは放心したようにがっくりとうな垂れ、ザイとリシャールは額の汗を拭った。
「ほれ、これでも塗っといてやんな。
なぁに、数日したらすぐに治るさ。
その薬草はとても良く効くからね。
じゃ、あんた達は早く帰りな。」
「わかってるよ。じゃ、リシャール、後は頼んだぞ!」
リシャールは、心細げな表情を浮かべ、黙って頷いた。
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「ひーーーーーっ!
いてぇっっ!!」
「じっとしろって!」
痛みに身をよじるアーロンを押さえながら、ザイはその背中に薬草を塗りつけた。
「しかし、竜人の鱗っていうのはけっこう深く根付いてるんだな。
なかなか取れないはずだ。」
アーロンの傷跡を見ながら、ザイは冷静に呟いた。
「痛いなんてもんじゃないぞ!
なんで俺ばっかしこんな目に遭わなきゃならないんだ…」
「馬鹿言うな。
おまえより気の毒なのはリシャールの方だぜ。
あいつ、今頃、どんな目に遭ってるんだか…」
「どんなって…
いくらなんでもあんな婆さんだし…」
「……わからんぞ。
あの婆さんは普通の婆さんとは違うからな…」
マーナはアーロンの魔法を解く代わりに、竜人の背中の鱗三枚と、リシャールと二人っきりで一日過すことを提示した。
その条件を飲まなければ、アーロンは竜人のままなのだから、ザイ達に断る事は出来ない。
鱗は取られ、リシャールはマーナの家に置いて来た。
後は、明日、魔法を解いてもらうだけだ。
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