黄昏時の神風
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かつて、この学校の屋上で自殺した生徒がいたそうだ。
何年も前の事で人々の記憶からは忘れ去れたが、この屋上だけは忘れない。
そこで流された涙の重みを。
そこで願われた悲しい望みを。
恋人を事故で亡くし、その姿を求めて空を翔けた、少年の物語を。
そして、彼は祈る。
残された者達へ。
失った者達へ。
その二本の足で、大地を駆けていけ、と――。
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