合わせ鏡
勇者は旅立つ
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「こ…こいつはえらい事だ!!」
ザイの出て行った特別室で、丸められた紙切れを見るアーロンの手が震えた。
(ザイの奴…たいした腕もないくせにイシュバラ樹海に一人で乗りこんで行くとは良い度胸だ。
しかし、本当に俺はツイてる…
ザイはきっとリシャールを救い出す前に魔物にやられるか、もしくはリシャールを誘拐した奴にやられるはずだ…
そうなれば、俺が何も手を下さずとも勇者は俺と言う事になる!!)
たとえ、ザイが倒れたとしても、アーロンが勇者に繰り上がるという可能性はほんの欠片さえもなかったのだが、少し回路のイカレたアーロンの理論では違っていた。
アーロンはそうなるものと確信していたのだ。
(そうだ…ここで待っていたのでは、ザイがやられるのはともかくとして、リシャールを救いに行く者がいなくなってしまう。
そうだ、そうだ!俺がここでリシャールを救い出せば、勇者になれた上にビアンキ家から謝礼をもらえるかもしれないぞ!
い…いや、謝礼に目が眩んでるわけじゃない。
俺は真の勇者だから、こんなことを見過ごせないだけだ!
……そりゃあ、くれると言われたら、一応はもらうけどな。
もらってやらなきゃ、ビアンキ家の連中も気がすまないだろうから仕方がないじゃないか。
よし!話は決まった!!)
アーロンはビアンキ家からもらう謝礼に胸を躍らせながら、宿を出た。
目指すは、イシュバラ樹海だ!
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