囚われて…
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「恐らく…女王の所かと…」
沈痛な面差しで最悪の結果を伝えるアーサーの傍らに、リシャールは立つ。その両の手は血が滲む程に握り締められ、しかし、俯いていたのは数秒だった。
「――アーサーさん。女王の所へ、案内してください」
静かな声音が紡いだ願いに、アーサーは弾かれたように傍らのリシャールを見遣った。
「ザイを、助けなければ」
自分を真っ直ぐに見据えてくるリシャールに、アーサーはしばし沈黙する。
代わりに、口を開いたのは後から付いてきたアーロンだった。
「リシャール!正気か!?俺達だけで、女王に勝てるとでも!?」
「ザイは、危険を承知で私を助けに来てくれました。今度は、私が彼を助ける番です」
穏やかに微笑まれ、アーロンは喉まで出かかった言葉を呑み込みざるを得なかった。
そんな二人を、アーサーの双眸が交互に見遣る。そして、一つ、頷いてみせた。
「わかりました。ご案内します」
「頼みます」
頭を下げるリシャールの肩にそっと触れ、アーサーは来た道を引き返す。後に続いたリシャールは、不貞腐れたようにそっぽを向いたアーロンの背を一度叩いた。
「…しょうがねぇ。借りだからな、これは」
促され、文句を言いつつもアーロンも歩き出す。
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