囚われて…

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「こらぁぁぁ!
出せ〜〜!ここから出しやがれ!!」

アーロンは、鉄格子を両手で掴んで揺さぶりながら、大きな声で叫び続けていた。



「黙れ!
それ以上、うるさくすると、おまえをまっ先に食ってやるぞ!」

「うっ…
そんなこと言っても、どうせいずれは食うつもりなんだろ?!
早いか遅いかなんて、たいした違いじゃない!
おまえらなんかに食われてたまるか!
ここからすぐに出しやがれ!このトカゲ野郎〜!!」

「まったくうるさい奴だな!
それに、言っておくが、俺達はトカゲではない!
竜人だ!」

「どっちでも、似たようなもんじゃないか!
俺は、爬虫類は全部嫌いなんだよ!」

「ほぅ、そうかい。
俺も人間は大っ嫌いだ!
だが、食い物としての人間は好きだけどな…」

そう言って門番は、檻の隙間から長い舌を差し入れ、アーロンの頬をぺろぺろと舐めた。



「ぎゃああああああああ〜〜〜!!」

尋常ではない叫び声と同時に、アーロンの全身に赤いじんましんが広がっていく…



「わっ!大変だ!
こいつ、きっと病気だぞ!」

「こりゃあ、えらいことになるぞ!
他の食料に移ったら、大変だ。」

「どうしよう?!」

「どうしようって…こんな奴、檻の中に置いとくわけにはいかんだろう!
すぐに捨てよう!」

「……え?」

門番達は檻に入り、ボリボリと身体を掻いているアーロンが呆気に取られてるうちにひょいと抱え上げ、階段を上がっていく。



「ど、どこへ行くつもりなんだ。」

門番達は、アーロンの問いかけを無視して階段を上って行く…



「いいか?
せ〜のっっ!」

屋上まで上がった門番達は、呼吸を合わせて弾みをつけると、広い窓からアーロンを投げ捨てた。



「あぁぁぁぁぁ〜〜〜っ!!」

でたらめに手足を動かしてみるが、アーロンは鳥ではない。
アーロンの水玉模様の身体は、引力に従って真っ逆さまに深い湖に向かって落ちて行った…


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