海を越えて

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「私達で、魔物を退治しましょう!」



そう言い放ったリシャールの瞳には燃え盛る炎が宿ってるようだった。



「……は?
今の話、ちゃんと聞いてたのか?
一日で四隻の船がやられたって言ったんだぜ。」

「聞いていましたとも!
だからこそ、そんな危険な魔物を野放しにしていてはいけないのではありませんか!
ユヒト殿、私達はヴェーラ様に選ばれし勇者なのですぞ。
そのような魔物を退治するのは、私達に課せられた使命ではありませんか!」

燃え盛る炎は、リシャールの瞳だけではなく、もはやその全身からめらめらと熱い火の粉をほとばしらせていた。



(……言わなきゃ良かった…)



言ってしまった後でそんなことを考えても現状が変わる筈もなく…
ザイは、がっくりと肩を落とし、大きな溜息を吐いた。

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